オペラ入門の第一歩に◉ニルソン、ベーム指揮バイロイト音楽祭祝祭管◯ワーグナー・トリスタンとイゾルデ

ワーグナーのワルキューレの騎行や、タンホイザーの大行進曲は好きな人が多いでしょうが、オペラ本体は未体験の人も多いでしょう。ワルキューレのオペラは5時間近くて、しかも五日間で上演されるチクルスの第一日なんて説明されると奥してしまうものでしょう。

そういう向きにトリスタンとイゾルデはいかが。男と女の愛のものがり。マルケ王の花嫁に選ばれたイゾルデを迎えに来たトリスタン。彼らは船で帰国途中に、水が不足して次女のブランゲーネが船底に見つけた酒がありました。
しかし、それはマルケ王への贈り物の一つだったのです。しかも、それは酒ではなくて媚薬でした。一口くちにしたイゾルデはトリスタンに恋してしまいます。
それが悲劇の始まりでした。

バイロイト音楽祭が行われる祝祭劇場の音響は金管楽器が生々しくズシッ、ズシッと押し寄せてきて、カラヤンのような軽やかさともショルティのような激しさとも違う、深く濃い音が迫ってきて圧倒されました。

ベームのテンポも幾分速いがセカセカした感がなく、淡々と物語が進んでいくという聴こえ方。強烈な緊張感をみなぎらせた指揮に改めて拍手を贈りたい。

長年、このオペラの最高峰と言われて高い評価を維持し続けている名演奏です。1960年代バイロイト黄金期のキャストはもう完璧と言ってよく、この時期まさに絶頂期にあった主役のふたり、ニルソンとヴィントガッセンを中心に、ヴェヒター、ルートヴィヒ、タルヴェラ、ヴォールファールトと素晴らしいキャストが揃い、新進時代のシュライヤーが若々しい美声の水夫役で花を添えています。

通販レコードのご案内 実演で燃えるベームの特徴を最高度に伝える演奏として今後も語り継がれていく。…